ちょっと前にネットで目にした「35歳の仕事論」というページで読んで面白かった水野学さんの記事。
そこから興味を持って、先日の北陸旅行の間に一冊、水野さんの本を読んでみることにしました。
手に取ってみたのは「センスは知識から始まる」と言う本です。
これおもしろい連載。まだまだ諦めるには早い!
【35歳の仕事論】第1話:どうしたら「センス」はよくなりますか?(good design company水野学さん) https://t.co/LkxsmIOskX
この本の概要
第一線のアートディレクターによる、「センス≒才能」という固定概念をひっくりかえす一冊。
- とらえどころのない「センス」の正体とは一体なにか
- なんとなく感じる「センスが良い」とはつまりなにか
- ふつうの人が「センス」を身につけることはできるのか
センスというものに心底憧れながらも、その得体のしれなさに諦めの気持ちを抱き、なんとなく距離をおいて今日まで生きてきた「センス恐怖症」の方におすすめの本。
実際に読んでみて感じたポイント3つ
僕が「いいね!」と思ったポイントを3つ挙げておきます。
ポイント1:センスとは自己研鑽により後天的に身につけることのできる「スキル」
1つ目のポイントは、センスとは先天的に生まれ持った人たちが持っている特別なものではなくて、誰でも自己研鑽によって身に付けることができるものと言うこと。
この本の中では「センスとは知識の蓄積である」ということが繰り返し書かれています。
つまり、センスと言うのは「出発点からいきなり飛躍して答えに着地する力」ではなくて、「客観的な視点と知識の積み重ねで答えまでの距離を詰めていく」ような、もっと地に足のついた能力だということ。
この本を読む前は、僕ももれなく「センスというのは生まれ持っての天賦のもので、自分には関係のない話」と思いこんでいました。
だけど、それは単なる思い込み。
センスは「才能」ではなく、誰だって努力で身につけられる「スキル」である。
この本を読み終える頃には、「センス」に対する言葉にできない得体の知れない拒否反応が氷解しているはずです。
センスを身に付けるためには、まずこのような思い込みを頭の中から外すことがはじまり。
ポイント2:世の中が求める「ありそうで無かったもの」は知識なしでは生み出せない
世の中に広く受け入れられる製品やサービスに多く見られる共通点は「ありそうでなかったもの」。
あまりに突飛で未来的すぎるものは理解されないし、すでに世にあるものは興味を抱かれない。
だからこそ、狙うべきは「ありそうでなかった、半歩先の未来」。
これを狙って生み出すには、2歩先、3歩先まで読むことのできる能力が必要で。
そして、この「先を読む」能力は、多くの経験と知識でしか身につかない。
言ってみればセンスとは「知識に基づいて適切な予測ができること」であって。
適切な予測ができれば、人々の頭の中にぼんやりとある「半歩先」を読み、言語化し、世に送り出すことができる。
「ちょうどこんなものを求めていた!」と思われるモノを生み出すセンスというのは、実は経験と知識によって裏付けられた実に泥臭いスキルとも言えるのです。
ポイント3:センスを身につける近道は、新しい体験と知識に触れ続けること
センスの正体が「知識の蓄積」であるならば、センスを身につける一番のコツは「多くの経験を積んで貪欲に知識を吸収していくこと」にほかなりません。
たとえば、
- 美術館であまり触れたことのないジャンルの芸術に触れる
- 自分と大きく世代の異なる人と話す
- 異なる生き方をしている人と話す
- 行ったことのない国に旅行して本気で困ってみる
などなど。
「自分だったらこれは選ばないな」「普通に生きていたらこれは経験しないだろうな」というようなモノに向き合ったときこそ、新しい発見がある。
その発見はすぐには吸収できなくても、自分の中で発酵し、やがて血肉となるはず。
自分の中のセンスを伸ばし、そしてそれをアップデートし続けるには、それしかない。
この本をおすすめできるひと
この本をおすすめできるひとはこんな感じ。
- 仕事でアイデア出しや企画を担当しているひと
- ひとつのスキルとして「センス」を身に付けたいひと
- 常々「自分にはセンスがない」と思いこんでいるひと
まとめ:みんなが踏み出さないからこそ、身につける価値がある。
僕自身、自分にセンスがあると思ったことはないし、自分とセンスと言うものは一切関係のないものかと思っていました。
でもこの本を読んだあとでは、センスはひとつの「スキル」であって、積極的に身につけようと思えば大いに自分を助けてくれるものだと、考えを変えることができました。
誰もが「センスは選ばれし人たちのもの」と思い込んでいる今だからこそ、センスを身に付ける努力をすることはとても大事。
センスは知識の蓄積に裏付けされたものであり、そういった裏付けがきちんとあるスキルには好調不調の波は起きにくいし、いざという時に頼れるものになるはずです。
少しずつでもいいから自分の中のセンスを育てていきたい。
関連記事:読んだ本の書評
#センスは知識からはじまる 読了。
・技術が踊り場に差し掛かっているとき、価値を生み出す余白はセンスにある
・センスは感覚ではなく膨大な知識の蓄積。後天的なものであり、誰でも研鑽により獲得できる能力