今年から取り組んでいるアウトドア。
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これまでも心構え的に何冊かアウトドアに関する本は読んでいます。
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今回はもともと興味のあった「ウルトラライト」に関するもの、そのなかでもポップな表紙でおなじみの「ウルトラライトハイキングシリーズ」の3冊を読んでみたので、さっそく書評を書いてみます。
この本の概要
ウルトラライトハイキングシリーズは、以下の三冊からなる三部作。
バックパックひとつで数ヶ月かけて大陸を縦断するようなハイキングにおいて、どんな荷物を背負っていくべきか。
年々軽量化が進むアウトドア道具をつかった「ウルトラライトスタイル」が台頭するいま、本当に持つべきマインドについて述べられたものです。
実際に読んでみて感じたポイント3つ
僕が「いいね!」と思ったポイントを3つ挙げておきます。
ポイント1:オリジナリティは「選別」の果てにある
この本を読んでいちばん印象的だったのは「オリジナリティとは選別の果てにある」というメッセージ。
いつしか僕らは、オリジナリティというものは、「積み重ねた結果」として得られるものだと思いがち。
だけど、ウルトラライトハイキングにおける「オリジナル」なスタイルとは、引き算を繰り返した先にあるもの。
良い市販品が多く出回る時代だからこそ、自分なりに必要な道具を選別して使っていくことが大事。
この考え方は、はじめは意外だったけど、一度腑に落ちるとすごく気持ちの良い考え方です。
研ぎ澄ませることでオリジナリティはつくられる。
ポイント2:その荷物は自分が背負う価値はあるか?
この本の中で何度も出てくる考え方、それは「一つの道具で複数の役目を持たせられるものを選びなさい」ということ。
例えば「タープ」なら、タープ以外にも、レインポンチョにもなるしグラウンドシートにもなる。
このようにできるだけ多くの役目を果たせるモノを選ぶことで、最小の荷物で多くの状況に対応できるようになる、という考え方です。
僕がこのメッセージを読んでまっさきに思い出したのは、2018年FIFAワールドカップ直前に急遽日本代表監督に任命された西野朗氏が、メンバー発表発表の会見で語った「ポリバレント」という言葉。
外部リンク:ポリバレントな役割求める西野監督、選手のポジション表記は「外してほしい」 | ゲキサカ
はじめに自分が選んだ「カード」で、訪れうるすべての状況に対応しなければならないのは、アウトドアもワールドカップも同じ。
数ヶ月にわたるハイキングでも、背負う荷物はできるだけ軽いほうがよく、更に一つの荷物で多くの役目を果たせるものがベスト。
結局は「戦略」というのは同じようなところに収束するのだな、と。
ポイント3:道具フリークにはならない
3つ目のポイントは「ウルトラライトハイカーは道具フリークではない」ということ。
たしかに、「高性能で軽いもの」となると、徐々に道具としての存在感が前に出てきてしまって、いつのまにか「道具ありき」のスタイルになってしまいがち。
しかし、ウルトラライトハイキングの目指すところは道具フリークとはまるで違うもので。
- 宿泊も食事も、できるだけ自然に痕跡を残さず行うこと
- たとえ便利でも、決して自然を傷つけるような道具は使わない
- 必要以上の装備は自然に関する感度を鈍らせる
大前提にあるのは「自然を傷つけるくらいなら、その道具は使わない」ということ。
現に、「自分の足で自然の中の道(トレイル)を傷めたくない」という理由で、昔ながらの重いブーツよりもくるぶし丈のスニーカーのようなシューズを選ぶハイカーもいるとのこと。
できるだけ道具で武装せず、自然に対してありのままの自分の体で触れて楽しむ。
その結果として、装備がシンプルに、軽くなる。
これがウルトラライトハイキングの理想の形なんだと思う。
この本をおすすめできるひと
この本をおすすめできるひとはこんな感じ。
- アウトドアをはじめたばかりで装備を買い集めているひと
- 自分のアウトドアのスタイルを模索しているひと
- いつの間にか使わない道具だらけになってしまったひと
まとめ:結果的に軽くなるのがウルトラライト。
僕自身、アウトドアの本を読んだり、自分がアウトドアを始める前は「最先端の道具でガチガチに装備して自然を制圧する」というのが最新のスタイルなのかな、と思っていたところもありました。
それくらい、今どきの道具は「いつでも」「どこでも」「どんな状況でも」その機能を存分に発揮するように作られているから。
だけど何冊かの本を読んでみて、そして自分で自然の中に入ってみて、それは勘違いだということに気が付きました。
目指すべきはそれとは正反対、つまり「自然にできるだけ負担をかけず、より自然を感じるために身軽になる」ということ。
そして、このウルトラライトハイキング全3冊も、根本のメッセージは同じ。
頭ごなしに「軽ければ軽いほど偉い」と考えるのではなく、目指すべきは「自分にとって本当に必要なスタイルを模索した結果、身軽になっていた」というスタイル。
僕自身、今後の道具選びや自然と触れるとき、いつもこの考えを忘れずにいたいです。
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