この間、ちょっとした夕方のスキマ時間を使って田辺誠一さんの「欧州旅日記」を読みました。
田辺さんのイラストに彩られた可愛い本で、スッキリした文体もあってスルスルと読める一冊。
だけど読み終わる頃には「自分がどこか遠くに旅をしてきていま戻ってきた」ような、そんな「旅先の空気感」を肌で感じられる良い本でした。
この本の雰囲気には「書評」というような堅苦しいスタンスは似合わないので、この記事では肩の力を抜いて感想を書いておきます。
ライフイズジャーニー好きとしては、移動遊園地の話が出てきて嬉しかった!
パリでの「孤独を感じる旅」も良かった。誰も自分を知らないところで過ごすことは旅ならでは。
15年くらい前に #眠らない羊 を読んでからずっとファンなので今後も要チェックや……!
— 煮え湯 🍳 "yawn" 毎日更新中! (@nieyu365) 2018年12月29日
旅は現代社会で「孤独」と向き合える数少ない機会
読んでいて特に印象的だったのは、パリへの「孤独を感じる旅」。
人は皆孤独である、ということを改めて身をもって実感する経験は、ふつうに日本にとどまっていてはできない。
言葉も満足に伝わらない国で自分が「外国人」として扱われることや、誰も自分を知らないところで孤独に過ごすことで見えてくるものはたくさんある。
旅というのは第一に「楽しむため」という目的もあるけれど、自分を見つめ直す体験をする何よりの機会だな、と。
その国の印象は現地で出会う人で決まる
もうひとつ印象に残ったのは、あとがきにある「その国の印象は現地で出会う人で決まる」。
これは僕自身の体験からも本当だと思う。
旅先の小さなやり取りって、現地の人が思っているよりも旅行者の記憶にずっと強く刻まれるもの。
僕自身これまで旅行した国々で印象に残っているのは、観光地よりもホテルよりも建築物よりも食べ物よりも、現地の人との生のコミュニケーションでした。
- チャオプラヤ川の川下り船で優しくしてくれたおじさんおばさん
- メキシコシティの乗馬体験場のスタッフの方たち
- カリフォルニアのバーガーショップで注文を受け付けてくれたお姉さん
- エアーズロックを案内してくれたかっこいいガイドさん
- 上海の中国語オンリーのステーキショップで勉強中の英語で対応してくれた店員さん
結局いま改めて思い返すと、その旅が良い旅だったかどうか「現地の人と心を通わせられたかどうか」なんだと思ってます。
もちろん完全ガイド付きのパッケージツアーもたのしいし悪くないけど、現地の人と一言も話さないで帰ってきてしまったら、それはちょっともったいないなと改めて思った。
伝わらなくても呆れられてもいいから、自分から言語や文化の壁を超えてコミュニケーションを取ってみる。
その体験にこそ旅の価値はあるのかな、と。
まとめ:旅に出たくなる一冊。
僕自身、田辺誠一さんの作品はかなり好きなので、序盤で移動遊園地の話が出てきたときは「ライフイズジャーニーで出てくる移動遊園地の話の元ネタはこれでは……!」とテンションが上りました。
この本で語られている旅はタイトルの通りヨーロッパがメイン。
僕自身はヨーロッパ圏にはまだ旅をしたことがないんだけど、やっぱり行ってみたいなという思いが強くなりました。
(この本は田端の映画館チュプキで「この世界の片隅に」を観たあと、駅近くのプロントで読みました)
- 映画「この世界の片隅に」を観た感想。「とにかく観てください」としか言えない
- 田端にある日本一小さいユニバーサルシアター「チュプキ」に行ってきた
- 「ここではないどこかへ」から「どこでもないここから」への転換。