このあいだ「佐藤可士和の打ち合わせ」という本を読みました。
僕自身もそうですが、稼働時間の多くを「打ち合わせ」や「会議」に割いている(割かざるを得ない)ビジネスマンは多いと思います。
逆に言えば、仕事の中で小さくない割合を割くことになる「打ち合わせ」の効率を最大化できれば、仕事の生産性も高まるということ。
そのために、「打ち合わせ」にはどう臨むべきで、具体的には何を変えていくべきなのか。
多くのヒントが詰まった一冊でした。
この本の概要
すべての仕事の「起点」となり、実際に多くの時間を割く「打ち合わせ」について、最大限まで生産性を高めるためにの秘訣を著者なりの視点でまとめた一冊。
行動面だけでなく、どういう態度で打ち合わせに望むべきか、といった心の持ちようまでカバーされています。
実際に読んでみて感じたポイント3つ
僕が「いいね!」と思ったポイントを3つ挙げておきます。
ポイント1:「常にひとの時間を奪っている」という感覚を持つ
改めて頭に叩き込んでおきたいのは、打ち合わせというのは「会議時間×参加人数分」の時間を奪っている「重みのある場」ということ。
だから、会議とは相談の場ではなく、常に「決める場」であるべき。
具体的には、はじめに打ち合わせの目的として
- なにがこの打ち合わせのゴールなのか
- 何を決断しなければいけない打ち合わせなのか
を参加者全員で共有するようにすれば、打ち合わせの質は何倍にも高まる。
さらに会議の終了時に
- 今回決まったこと
- 決まらなかったことはなにか
- 次までにやってくることはなにか
を参加者全員で共有するようにする。
「他人の時間を奪っている以上、それを上回る成果を打ち合わせから得なければならない」という意識を持って臨めば「無駄な定例打ち合わせ」というのは減っていくはず。
ポイント2:打ち合わせを真剣勝負の「アウトプットの場」と考える
前述したとおり、元来、打ち合わせとは非常に重い場。
そのアウトプットを「練習」のつもりで参加しては、何も得るものがないまま終ってしまう。
打ち合わせの効率を最大化するためには、たとえ社内レベルのローカルな打ち合わせだろうと、参加者がその打ち合わせを「練習」と考えていてはいけない。
ひとりひとりが「本番」だと考え、参加者としての自分なりのバリューを出すこと。
発言もせず受け身で参加していては会議全体の熱量を下げることになり迷惑だし、結局自分の時間が奪われて終わるだけ。
参加するからには「打ち合わせはアウトプットの場」だと強く意識して、提供した時間以上の成果を持ち帰れるように心がけること。
ポイント3:仕事のクオリティは打ち合わせ前の「準備」で決まる
打ち合わせの場で、その場の瞬発力で良いアイデアを出したり企画をまとめたりすることは、かなり難しいこと。
だけど、ひとつひとつの打ち合わせを「本番」と考え、事前にじっくり下準備するようにすれば、一回ごとの打ち合わせの「獲れ高」を高めていくことはできる。
現代では他者と関わり合いながら働くうえで、「打ち合わせ」と無関係の仕事はほとんどない。
多くの仕事が打ち合わせを起点として始まり、打ち合わせを経て形作られていく。
つまり、しっかりとした準備で打ち合わせの質を高めることが、そのまま仕事の質を高めることにつながっているということ。
仕事に必要なのは「瞬発力」ではない。
次の打ち合わせの目的は一体何なのか、そこで参加者の自分がアウトプットできることはなにか。
自分なりに想像力を働かせて「準備」を毎回しっかりとできるかどうかで、その仕事のクオリティが決まると言っても過言ではない。
この本をおすすめできるひと
この本をおすすめできるひとはこんな感じ。
- 職場での打ち合わせで議事進行を務める立場にあるひと
- 日々の打ち合わせをより生産的な時間にしたいと思う人
- ただルーティンで行われている会議の質を改善したいと思っているひと
基本的には「打ち合わせ」と無縁でいられるビジネスマンってほとんどいないと思うので、きっと参考になるヒントがみつかるはず。
まとめ:仕事にいちばん必要な力は「想像力」。
いろいろ書いたけど、僕がこの本を読んで最終的に感じたのは「この本は想像力、つまりイマジネーションに関する本なのだ」ということ。
- ひとの時間を奪うことになる「打ち合わせ」を有意義にするためには
- プロジェクトを円滑にトラブルなく進めるためには
- 周りのメンバーに気持ちよく働いてもらうためには
- メンバーのパフォーマンスを最大に引き出すためには
これらに共通して必要なのが「想像力」。
想像力があれば、気配りもできるし、必要な準備ができるし、プロジェクト全体を見据えた行動が取れる。
仕事に求められる力とは瞬発力よりも「想像力」であり、もっと言えば「仕事ができる」とは「気遣いができる」ということなのかな、とも思いました。
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